求人票と実際の労働条件の違い

給与や賞与、休日、勤務時間など求人票には労働条件が記載されています。 入職すると「求人票と実際の労働条件が異なる」ということは少なくありません。

厚生労働省が2014年3月に公表した資料の中に驚愕の実態があります。

厚生労働省では、このたび、「ハローワーク求人ホットライン」を開設するなど、ハローワーク(公共職業安定所)で公開している求人票の記載内容と、実際の労働条件が異なる場合の対策を強化します。 平成 24 年度に全国のハローワークに寄せられた申出で、求人票の記載内容と実際の労働条件が違うといった申出は、7,783 件でした。 中略 このような状況を踏まえて以下の対策を行い、 求人票の記載内容の正確な把握に努め、引き続き、求職者の期待と信頼に応えられる職業紹介・就職支援を行っていきます。

要するに求人票と実態の労働条件が異なる相談が1年間で7,783件あったということです。

内訳は、給与の違い2,031件(26%)、勤務時間の違い1,405件(18%)、選考方法の違い1,030件(13%)となっています。 連絡があった件数が7,783件ですから、実際には2~3倍以上はあるのではないでしょうか?

求人票の嘘を見抜くことは出来るのか?

「求人票には22万だったけど、実際には残業60時間分が含まれていた。」
「週休2日と記載されていたけど、実際には日曜しか休みがない。」
「求人票とは違う科に配属された。」

酷い会社になると社会保険加入のはずが、未加入となるケースもあります。

こういった求人を事前に見抜くことは非常に困難です。
しかし、見抜くことは難しくても防ぐことは可能です。

入職前に防ぐ方法

入職前に防ぐ方法としては労働条件を明確にすることが何よりも重要。
労働基準法では、使用者(入職する人)に対して書面による労働条件の明示を求めています。

書面に記載する必要のある内容は、契約期間・就業する場所・勤務時間・残業の有無・休日・賃金などです。

もしも被害にあった場合にはハローワークではホットラインを開設。
連絡内容を集計・分析し、求人票と実際の労働条件が異なることが起きないよう防止策の検討や実施に活用するそうです。

求人を見抜く方法

求人票をいくら熟読しても、その内容だけで見抜くことは困難です。
唯一の方法は「紹介実績のある求人サイトを利用する」と実際の労働環境を知ることが出来ます。

過去に別の看護師を紹介していたり、コンサルタントが何度も訪問していることから実際の環境を知ることが出来ます。

また、求人サイト経由の就職は条件交渉をコンサルタントが代行してくれます。
そのため条件が入職してから異なるということを防ぐことが出来ます。

求人サイトによっては病院の雰囲気、離職率、残業の実態などを教えてくれます。
無料で利用できるため利用しない手はないですよ。

入職してから気づいたときの対処法

既に入職してしまった看護師はどうすれば良いのでしょうか?

このケースだと早めの対応が必要になります。
求人票と実際の労働条件の違いを認識しつつ数ヶ月働いている場合は、その労働条件に同意したとみなされるからです。

また、労働契約書にサイン済の場合も契約の解除は難しくなります。
労働契約書に記載のある期間は、退職は難しくなるということです。

ただし、期間の定めがない正社員のケースであれば、2週間前に退職の申出をすることで退職は可能です。
(病院の就業規則によっては退職前の1ヶ月のケースもあります)

では、労働条件の説明時に気づいたときは、どうなるのでしょうか?
このケースでは、契約の解除もしくは改善要求という2つの方法があります。

「こんな病院では働けない!」という場合は、労働基準法15条2項に記載の通り即時に労働契約を解除することが出来ます。

通常は前述のとおり「2週間前」ですが、このケースだと即時解除できます。
入職してからのケースは”すぐに”対処する必要があるということですね。

改善要求をする場合ではどうでしょうか?
直接応募の場合は、ほぼ不可能と思って下さい。
ハローワークや求人サイト経由なら相談してみると良いです。

第三者を介すことで病院側も動かざる得なくなるからです。
ただし、仮に待遇が求人票と同じになったとしても、病院内で噂になったり、色々と働き辛くなるのが現実です。